仕切りラインは仕掛けラインとセット
トレードの仕掛けのラインは、上でも下でも自分が仕掛けようと考える方向に値が進み始めたところです。それに対して、値が反対に進み始めたところが仕切り(手仕舞い)のラインになります。
あえて損切りと書かずに仕切りと書いたのは、仕切りについては結果が利益確定だろうが損切りだろうが基本的な考え方は一緒だからです。仕掛けは利益を得るのが目的ですから、期待値はプラスの利益になるはずです。しかし、それはあくまで期待値であって、実際に利益になるかどうかはやってみなければわかりません。時の運です。損失になることだって当然にあるわけです。ですから、感情はともかくとして、利益確定と損切りを比較して損切りが失敗だなどと考えたらおかしいことです。利益になるか損失になるかは、単に結果だけの話です。(何度でも書きますが、正しい損切りは失敗ではありません。)
では、値が反対に進み始めたということをどこで判断するのか。
これは、値が自分が考える方向に進み始めたという仕掛けの根拠に連動します。例えば仕掛けの時に、前日の高値を抜けたから買ったのだとすれば、前日安値を割ったら仕切りというルールが考えられます。高値更新を上昇と判断するなら、安値更新が下降と判断できるわけですから。
仕切りラインはそれだけを単独で取り出しては語れないと思っています。まずは、仕掛けラインです。
私の場合、仕掛けラインは、たいていは移動平均線などの重要なラインとローソク足との絡みで判断しています。買いの仕掛けならば、高値抜けです。ローソク足とローソク足の関係で、前日の高値抜けとか直近の高値抜けとか、重要ラインとローソク足の関係で、75日移動平均線や水平のパーティションを抜けた足の高値抜けとかです。基本的にトレンドフォローの観点で仕掛けていますので、買いの場合は、何らかポイントになる値を抜けることを仕掛けのタイミングにしています。(空売りなら”割れ”です。)
仕切りは仕掛けと逆です。仕掛けに合わせて、前日安値割れ、直近安値割れ、75日線割れ、水平パーティション割れが、仕切りラインになるのです。
ただ、ここからは仕切りならではの考え方なのですが、特に損切りの場合などは確実なリスク回避の立場から、「割れ」だけではなく他の指標も幅広に使っていきます。たとえば、ボリンジャーバンドやMACDなどです。そして、「割れ」であっても指標であっても何かひとつでも現実にサインが出れば仕切ります。また、日をまたいだ持越しもリスクになりますので、急な価格変動に備えてサインと関係なく仕切ったりもします。
仕掛けならば、できるだけふたつ以上の仕掛けの根拠を探します。ひとつだけの「抜け」よりも複数の「抜け」が同時に起きていれば、より強いチャンスになると考えられるからです。25日移動平均線抜けと直近高値抜けだったり、価格のパーティション抜けと一目均衡表の雲抜けが同時に起きるようなポイントを狙っていったりするわけです。しかし、仕切りではひとつの根拠で実行するのです。
仕切りラインの具体例
買いで仕掛けたスイングトレードの場合を例にして、仕切りライン整理してみます。
●移動平均線割れ
・75日線、25日線、5日線を割る。
・基準足(ライン割れの足)を使用する場合は、その基準足の安値割れ。
●安値割れ
・前日安値、直近安値を割る。
・買った日のローソク足の安値を割る。
・買った値を割る。
・前3日間の最安値を割る。
・前日安値もしくは前々日終値の安いほうを割る。
●その他のサイン
・ボリンジャーバンド+2σを抜ける、割れる。
→ バンド幅が広いなら「抜ける」で仕切り。バンド幅が狭いなら「抜ける」が仕掛けで、「割れる」で仕切り。
・MACDのデッドクロス(ゼロライン上)、凹みで仕切り。
→ デッドクロスは絶対に仕切り。
→ 凹みでの仕切りは、安全性重視の時のみ。
※利益確定も損切りも仕切りということまとめましたが、指標によっては少しは使い道は違います。
※ボリンジャーバンドは、買い仕掛けの仕切りで使う時は、上がり過ぎを判断する指標ですから、利益確定の指標であって損切りでは使いません。
※MACDは、上昇下降の傾向を示してくれる指標で、あくまで参考情報としてに使うことが多く、デッドクロスでの仕切り以外にはあまり使いません。
利益確定の場合は含み益の増加に合わせて都度変えていくこともあります。例えばスイングトレードでは前日安値割れに仕切りラインを置きながら様子を見て、利益が出てくれば、「前日安値か前々日終値の安い方」や「前3日間の最安値」に変えていきます。少しでも利益確定を先延ばししようとするやり方です。
損切りのときは、最初に決めたラインを仕掛け後に変えたりはしません。一度でも値がラインに来たらそこで終わりです。先延ばしにするようなことはしません。基本的な考え方は利益確定と同じでも、損切りのときはより厳格に実施することが肝要です。